オンライン資格確認の医療情報閲覧にはリモートデスクトップをおすすめ・・・したかったのですが

2022年4月3日

オンライン資格確認の点数算定には情報の活用が必要

オンライン資格確認を使用して、薬剤情報や特定健診の情報を取得することができますが、この情報を活用した診療を行うことに対して加算が算定できるようになりました。意味不明な「困難な場合」という時限付きの加算もありますが、いずれにしても薬剤情報や特定健診の情報を活用することが前提ということでしょう。
ところで、オンライン資格確認の端末はほぼ間違いなく「受付」においてあるのに、医師が情報を入手するにはどうしたら良いのでしょう。「受付の担当者に情報を印刷してもらう?」、「電子カルテ等に搭載されている連携機能を使って閲覧する?」色々方法はあるだろうと思いますが、今回は診察室で情報を入手する方法を考えたいと思います。

Windowsにはリモートデスクトップがあるじゃないか・ダメです

以前、オンライン資格確認端末で薬剤情報や特定健診の情報が、かなり良い体裁でダウンロード可能なことは過去の記事に書かせていただいています。これを受付担当者に印刷して貰えばことは済むかといえばそうでもなく、そもそも「オンライン資格確認端末にプリンタが接続されていない」なんてことはありませんか。まあ、安いインクジェットプリンタでもつないで印刷すれば良いといえばそれまでですが、それでなくとも狭い受付に、オンライン資格確認端末が増え、更にプリンタが増え、余計に狭くなるばかりで、更に余計な作業を受付担当者に頼むのも気がひけるのではないでしょうか。
それじゃあ「Windowosにはリモートデスクトップがあるからオンライン資格確認端末に標準のリモートデスクトップで繋げばいいじゃないか」とおもいやってみましたが、これが実はうまくいきません。

ベンダー向けサイトのQ&Aに使用不可の記載あり

ベンダー向けサイトのQ&AにWindows標準のリモートデスクトップ使用時の制限が記載されていました。(つまりは使えないという内容)

  • パナソニックコネクト社製
    こちらはそもそもカードリーダーの画面がWindowsの「拡張画面」として表示されているので、Windows標準のリモートデスクトップでアクセスしてしまうと、画面がログオフしてしまいますね。このため、サードパーティーのVNCソフトの使用を推奨するとのことです。
  • 富士通Japan社製
    Windows標準のリモートデスクトップを使用すると、顔認証付きカードリーダーが正常に動作しないと記載があります。これは富士通Japanのカードリーダーが悪いわけではなく、そもそもとしてリモートデスクトッププロトコルの動作として接続先PCのICカードリーダを無効にする仕様になっているためだそうで。
  • アルメックス社製
    リモートデスクトップ接続でログオフ状態になった際に、マイナタッチ管理コンソールが動作し続けるよう設定すれば使用可能なようです。タスクスケジューラでログオフ状態でも実行可能にするようにとの記載があります。
  • アトラス情報サービス社製、キヤノンマーケティングジャパン社製
    Q&Aに記載がないので不明です。

以上のとおりでしたので、Windows標準以外のVNCソフトの導入を検討する必要がありそうです。試しに無償で使用可能なUltra VNCあたりがどうか試してみたいと思います。
※注意:リモートデスクトップソフトを使用する際は『「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した構成として整理の上、ご対応いただくようお願いいたします。https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166275.html』との記載があったことを追記しておきます。

他に診察室から医療情報を閲覧する方法はないのか

各電子カルテ・レセコン各メーカは、オンライン資格確認の仕組みを使った医療情報の閲覧”オプション”は用意があるようです。とは言え、これって販売されるオプションであるケースが殆どで、ここにメーカ各社が開発費用をかけ、医療機関に提供する意味ってどこにあるのでしょうか。既にオンライン資格確認端末の仕組みとして、医療情報をリクエストすれば応答してくる仕組みがあるのですから、「オンライン資格確認標準の医療情報閲覧ソフト」を開発し、レセコンや電子カルテ端末にインストールすることを考えてもらうことはできないものでしょうか。各メーカから購入するということは、もちろん各メーカが開発し、その費用を回収するために導入時の費用にコストを載せなければなりません。機能が追加されるたびに改修費用も発生し、こういったことが積もり積もって補助金範囲内で導入ができないということにつながっているのだと思います。
院内Windows端末にインストールし、場合によっては電子カルテ・レセコン端末に同居インストールして、簡易のWebサーバ機能をもたせれば院内のいずれの端末からも閲覧可能にするとか、折角の仕組みですから有効に活用するための運用までを視野に入れた取り組みを期待します。