オンライン資格確認の使い方は誰が説明してくれる?

2022年10月16日

患者はもちろんわかっていない

自分が患者として病院、クリニックに受診し、今までであれば受付を済ませ、待合室で待つ。もちろん事前に保険証の確認を済ませる施設もあれば、会計のときに保険証を確認する施設もあり、保険証ありきでこれまで患者の流れができていたので、今更疑問に思うこともなくこなせていたことでしょう。
ところが、ここに突然オンライン資格確認の仕組みが導入され、それでなくともITが苦手なスタッフは混乱するばかりです。それでは患者側は一体どうかといえば、医療施設スタッフ以上にオンライン資格確認の使い方はわからないでしょう。「そんなもの何度か経験すれば患者も理解するはず」と思いたいですが、患者は子供から大人、老人に至るまで、様々な知識レベルの方がいらっしゃいます。それらの方々に、一様にオンライン資格確認の使い方を理解していただくには「オンライン資格確認が想定している運用」を施設の立場、患者の立場でわかりやすく啓蒙する必要があるのではないかと強く感じています。
ベンダの立場からすれば、オンライン資格確認の導入を強制(義務化)されたため必死になって導入作業を進めてはいますが、これに加えて各施設への機能説明、操作説明、運用説明、導入後のサポートとすべてがベンダ任せになっている現状に絶望感を抱かざるを得ません。

導入スタッフが圧倒的に不足している現状

聞いた話ですが、医療分野に関わったことのないベンダスタッフがオンライン資格確認の導入作業を実施している。このような状況は、令和4年3月までの導入を見据えた場合に仕方ないことと思います。御存知の通り、オンライン資格確認端末は、ネットワーク接続の要素、端末セットアップの要素さえ満たせば動作する状態で施設への導入が可能です。ここで問題になるのは、おそらく診療所レベルで多いことと思うのですが、現場の運用に即した説明なしに導入だけする。すると、最低限のオンライン資格確認の操作はわかるものの、実際どう運用したら良いか全く想像ができず、結局使えずに今に至っているということが起こりえます。
オンライン資格確認端末そのものの機能はどのメーカの端末、顔認証付きカードリーダ、ネットワーク種別を選択しても同様なのですから、然るべき組織がもっともっと使い方の啓蒙をすべきと感じています。

レセコンとの連携・連動も含めた補助金額だったのでしょうか

オンライン資格確認端末の便利さは「レセコンとの連動」にあると感じています。これがないとまさに地獄の人力連動を行う必要に迫られます。今まで保険証の確認だけで済んでいたレセコンの操作が、
 ・顔認証を行う
 ・画面に表示される保険情報を確認
 ・レセコン画面と見比べて同一保険か確認する
 ・異なる保険なら追加登録する(もちろん間違いなく)
と煩雑になります。
また、本来既存の保険の有効性を確認する便利な機能も、わざわざオンライン資格確認端末に既存の保険情報(保険者番号、記号番号だけでなく生年月日なども間違いなく)を入力しなければならないという面倒この上ない操作になります。
Orcaならいざしらず、開発費の改修が必要なメーカー製レセコンではレセコンとオンライン資格確認端末との連携にはそれ相応のオプション費用が必要になりますが、今回の補助金額は、全額補助と言いながらこの連携費用は考慮されていたのでしょうか。レセコンとの連動があればオンライン資格確認の使い方も大きく変わります。場合によってはオンライン資格確認端末の画面操作をすることなく、全てレセコン側の操作で完結してしまいます。当初からレセコン連動時の挙動まで規定し、メーカの差異をなくし、施設スタッフも迷わない、患者も迷わないオンライン資格確認の使い方であったら良かったなと感じています。

保険証の保険者番号、記号番号の登録って必要なの。。。

表題とは異なる視点の内容になってしまいますが、この複雑な運用になるのもマイナンバーカードと保険証を紐づけているからなのではないかと。いっそ、マイナンバーカードと医療機関コードから生成される一意の番号をレセコンに登録しておけば良いとか、そんな仕組みにならないものでしょうか。医療機関側で保険証の内容を入力させることに無理があるのであって、国保だろうが社保だろうが、全て支払基金にこの一意の番号で請求し、支払基金側で各保険者に振り分けてくれれば事は済むのではないかと。少しでも使い方が簡単になることを期待しています。

ベンダでは実際の動作を試す場がありません

ベンダには本番環境で動作可能なアカウントを持っていません。したがって、実データでの挙動は導入先である医療機関でしか体験することができないのです。オンライン資格確認の操作説明をベンダにさせることに無理があることをご理解いただけると幸いです。